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今更聞けない!ワインのブショネとは
あなたは、ワインを飲んで不快なにおいを感じたことはありますか。
ふつうは、あまり体験したことがないと思います。ワインビギナーの方でしたら、ブショネって聞いたことがあっても、そのブショネの臭いを感知することは少し難しいかもしれません。
私は、においに敏感だという方でも、嗅いだことがない香りを感知することは少し経験が必要になります。
著者は、お酒に関する国の研究所である、「酒類総合研究所」で酒の香りや味わいの訓練を積んでいます。そのため、ブショネのワインに遭遇すると、直ぐに分かりますが、一緒にワインを飲むメンバーは、誰もブショネを感知できない時もあります。
しかし、ブショネのワインを飲んだからと言ってお腹を壊すなどは起こりませんから、当人が不快でなければそのまま飲み続けたって問題はありません。
ブショネの臭いは分かるまで、何日かに分けて香りを嗅いでみてください。
何度か、繰り返すことで覚えられます。次からははっきりと分かるようになります。
初めて当たってしまっても直ぐに捨てずに「勉強のチャンス!」と思ってテイスティングしてみてください。
ここだけの話し
著者は、お酒に関する国の研究所である、「酒類総合研究所」で酒の香りや味わいの訓練を積んでいます。
ワインでも日本酒でもブショネ(日本酒ではオフフレーバーと呼ぶ)は存在します。
しかし、経験の浅い、ソムリエや唎酒師でもブショネを判別できていないこともあります。
レストランやビストロ、居酒屋でワインを注文した時に、コルクによるブショネのワインに遭遇したことがありました。
ソムリエに伝えても、ブショネではないという返答で、ワインは取り換えてはくれませんでした。
確かに、ブショネのワインは飲食店にとってはリスクでありますし、別のボトルを出したらロスになり、原価が無駄になってしまいます。(サングリアなどに加工するのも手だとは思いますが……。)
そして、日本酒に関してもオフフレーバーに遭遇することがあります。日本酒はワインより味や香りが淡く、判別することはさらに難しくなります。したがって、飲食店のスタッフさんでも感知できずにオンリストされてしまいます。
日本酒に関しては、製造元が原因でオフフレーバーになってしまうことがほとんどです。
オフフレーバーが付いている蔵の酒は数年間は、改善するのが困難なことから著者が経営するレストランでは、数年間は絶対にオンリストしません。
雑誌に載る有名な、銘柄でさえ数年間のオフフレーバーに悩まされるのですから大変な事態です。でも、オフフレーバーがあるからと言って発売しないわけにはいきません。
そのくらい、消費者が気が付くのは難しいのが日本酒業界の内緒話です。
ブショネの原因
ブショネとは、汚染されたコルクによりボトル内のワインの品質が劣化することを意味します。
フランス語の「ブション(bouchon)=コルク」が語源になっています。
ブショネは、スティルワイン、シャンパーニュなど泡があるスパークリングワインにも発生します。
せっかく買った高価なシャンパーニュがブショネだったらショックは大きいですよね。
コルクが原因ですから高級な偉大なワインでも発生します。
ブショネの主な原因は、天然コルクについた細菌により、TCA(トリクロロアニソール)という物質が発生することでブショネになってしまいます。
コルクは「コルク樫」の樹皮を煮沸をして、乾燥させた後、塩素を使用し漂白をして作られるのですが、この塩素がコルクに潜んでいる細菌などの微生物と結びついてTCAを発生させてしまいます。
コルクの弾力はコルク内部にあいている無数の「小さな穴」があります。
そのためいくら徹底的に殺菌をしても、コルク内の小さな穴に微生物が残ってしまうことがあり、それがTCA(トリクロロアニソール)という物質に結びついてしまうのです。
天然のコルクを使用している限り、ブショネを100%無くすことはできないのです。
他にも、ワイナリーの設備汚染が原因で起こることがあり、この場合には汚染された設備に関わったワイン全てがブショネになります。
ブショネの確率は?
できれば、ブショネには遭遇したくないですよね。
ブショネの確率とどのくらいなのでしょうか。
レストランワインじまんオーナーのKIKI
ブショネの確率は、およそ5%だと言われています。100本中、5本がブショネの確率があるという事。結構高いですよね!
ブショネってどんなにおいなの?
ブショネの臭いは、湿った段ボールのようなにおいとよばれています。少しわかりづらいですよね。
著者は、湿った段ボールより、カビのような臭いに感じます。
カビまでいかなくても、古いタンスのような臭い言えばわかりやすいでしょう。
還元臭 との違い
ワインで不快な香りと言えば、もう一つは還元臭と呼ばれる香りです。
温泉卵のような硫黄臭です。
還元臭とは酸化の反対で、ワインが極度の酸欠になった状態のことを言います。
原因はアルコール発酵中、酵母の生育に不可欠な「窒素」が不足すると、酵母は「含硫アミノ酸」を資化し「硫化水素」を発生させます。さらに熟成段階でも酸素供給が不足していると、「硫化水素」から「メルカプタン」が生成される。それが温泉卵のような硫黄臭を生み出します。
還元臭は空気と触れることで消滅します。ワインに空気を吸わせてあげると元気に美味しいワインに変わるという事です。還元臭があるワインに遭遇しても大丈夫です!
タマネギ、硫黄、ゆで卵などの香りを感じたらワインをデキャンタージュして空気に触れさせてください。
ボルドーワインの澱がある場合や、若いボルドーなど香りが開くのでデキャンタージュはおすすめします。
おすすめの、デカンタはこちらです。
思い切って、ちょっと高級なリーデルのデカンタもおすすめ。テンションが上がります。
スクリューキャップのワイン
近年は、合成コルクやスクリューキャップの採用でブショネを避けることができます。
合成コルクやスクリューキャップなら、コルクによるTCA汚染がありません。
スクリューキャップは密閉性に優れているので、豊かな果実味と香りを保ちながらゆっくりと熟成させることができます。そして、酸化防止剤の使用量を減らすこともできるため、自然派やナチュール系ワインの生産者は多く、スクリューキャップを採用しています。
コルクワインより熟成の速度は遅いですが、スクリューキャップワインも素晴らしい熟成をすることが認められてきました。
最近、ブルゴーニュのように美味しいと話題のニュージーランドでは、スクリューキャップのワインは99%になりました。だからニュージーランドのワインは99%ブショネに当たらないという事になります。
✔ ニュージーランドのワインについてはこちら
とても、美味しいピノノワールワインをご紹介しています。
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先日、購入したドイツのピノノワールもスクリューキャップのワインでした。6年熟成のものでしたが、スクリューキャップでも何の問題もありませんでした。
ドイツのおすすめスクリューキャップのワイン
最後に、昨日飲んだドイツのピノノワールワイン。とっても美味しかったので、是非紹介させていただきます。
3千円でこんなに美味しいなら嬉しいワインです。ブルゴーニュならもっと高価なワインの味わいでしょう。こちらも、スクリューキャップのワインでした。
ドイツではピノノワールをシュペートブルグンダーと言います。
酸味は程よくエレガント。タンニンは、とてもなめらかで、赤系ベリーのジューシーさと牡丹のような花の香り。なかなかドイツワインに馴染みがない方でも、経験して欲しいワインです。
ドイツワインも詳しくなったら、かなりなワイン通ですよね。
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