ワインの官能評価 専門家の本格テイスティング解説 - レストラン ワインじまん

ワインの官能評価 専門家の本格テイスティング解説

あなたは、ワインを飲んだ時に、そのワインについてどんな風に感想を述べていますか?

あなたのテイスティングとは?

レストランワインじまんオーナーのKIKI

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あなたは、ワインを飲んだ時に、そのワインについてどんな風に感想を述べていますか?

う~ん、あまり感想は得意ではないけど、「飲みやすい」とか「すっきり」とか「爽やか」とかくらいしか言えないかな。

レストランワインじまんオーナーのKIKI

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やっぱり!ここだけの話「飲みやすい」っていう感想は、ソムリエからしたら、ガッカリするセリフなんだよね。だって、せっかく美味しいワインをセレクトしたのに、「飲みやすい」じゃあね~~。逆に、飲みにくいワインを提供はしないですよね。

まあ、お客さんには直接言ったりはしないけどね。

うわ~~、厳しい言葉だけど、確かにそうだね。ちょっと恥ずかしいな。

人の味覚、嗅覚

人間の嗅覚受容体は約400種類も感じ取ることができます。ワインには様々な香りがあり、複数の嗅覚受容体の組み合わせにより、ラズベリーやブルーベリー、バラや牡丹など花の香まで感じ取ることができます。
嗅覚受容体は個人差があり、香りや味覚の感度も違います。人によって香りに対する感じ方が違うのも、嗅覚受容体がどの香りをキャッチするのかでも異なってきます。そのため、香りは人によっては感じづらい香りや、直ぐに当てられる香りなど異なるのは当たり前なのです。

年を重ねても嗅覚は成長する

嗅上皮にある嗅神経細胞が香りを感じる神経です嗅神経細胞は生涯にわたり新しく生まれ変わります。その為、年齢を重ねても香りの感知能力は、さほど衰えないのです。
そして、年配者は若い人より、色んなものを食べたり、香りを嗅いだ経験があるため、脳が学習をしています。したがって、若者より香りの識別能力が高いという事になります。

におい物質が混ざると

ワインには様々な香りが含まれています。単体の香りはなく様々な物質が混ざり、ラズベリーみたいなとか、マンゴーみたいな香りが生まれてくるのです。
におい物質は混ざるとそれぞれの香りを感じ取れなくなり、新たな香りが生まれてくるのです。これは、香りと香りのマリアージュですね。ワインから出る複数の香りをキャッチし、フルーツの香りや、皮やスギなどの樹の香りになっていくのです。
アロマセラピーの凝縮された精油をブレンドすると新しい香りが生まれて、新しい香りが誕生します。香水も同じで調香師もフランスでは地位が高い存在です。

嗅覚は訓練により才能が育つ

私たちは脳で、ワインから感じる数百以上の、香り物質を、「ワインの香り」として認識しています。そして、私たちはその数百のワインの香りの中から、色々な香りを抽出して感じ取ることができます。だからブルーベリーの香りを感じ取ることができるのです。
これは、ワインの中の単体の臭いを嗅ぎ分けているのではなく、ワインの中にある臭い物質が組み合わさって出来る香りを抽出して感じ取っています。

そのように感じられる香りは、以前に嗅いだことのある香り、知っている香りだけ感じ取れます。ブルーベリーの香りを知っているからこそ、嗅ぎ分けられるのです。
つまり、色々な香りを経験すればするほど、ワインからいろいろな香りを感じ取ることができるようになります。だから、嗅覚は鼻が悪いことや、タバコを吸っているからという事に関係なく、嗅覚は訓練次第に良くなっていきます。
ソムリエの嗅覚が優れているのは、興味を持って色々な香りをかんだり体験しているから嗅覚に優れているのです。

この花の香りは想像できますか

嗅覚トレーニングの方法

著者のレストランでは、月に一度ほど希望者を集めてテイスティングの基礎知識を学んだあと、テイスティングのトレーニング会を開いています。ここでは、品種の特徴香りが良く出た単一品種の銘柄を10種類ほど用意して、トレーニングします。

例えば、リースリングなら品種特徴香が出やすいものを用意します。そして、このワインからリースリングの特徴香の「ぺトロール」を皆で、探していきます。

リースリングのぺトロールとは

ぺトロールとは
リースリングの代表的な香りです。ぺトロール香と呼ばれています。ぺトロール=石油のような香りと言われていて、リースリングにはよく感じられる独特の香りです。
トリメチル・デヒドロナフタレン、略してTDNという物質です。

私は、ぺトロール香が強いリースリングはあまり好みではありません。しかし、リースリングは爽やかな酸味とブドウの成熟度の高さから大好きなワインなのですが、嫌いな香りほど、特に飛び出て感じられるように思います。

ぺトロールが嫌いだからと言って遠ざけているのは、ソムリエとして失格ですから、合わせる料理には、華やかなオリーブオイルをかけたサラダやモッツァレラにはとても相性が良く、ペアリング料理のポテンシャルも広げてくれます。他の香りをマスキングしてしまうほど強いものは確かによくないですが、リースリングのアイデンティティとして受け入れるのもソムリエの器のだと感じています。

メトキシピラジンの香りとは?

テイスティングの基本講座でもう一つ最初に覚えてもらうのが
メトキシピラジンという香り物質です。

これは未熟なカベルネ系品種に現れると言われる香りですが、カベルネ・ソーヴィニョンには多少感じ取れる香りともいえます。ソムリエ試験の二次テイスティングで色調と濃淡が濃い「シラー」か「カベルネ系」か迷ったらこの、メトキシピラジンを香りから探してみると正解しやすいでしょう。色の淡い、ブルゴーニュのピノ・ノワールからは感じることはありません。

メトキシピラジンの香りはどんな香り?
グリーンな香りで、青っぽい、ピーマンのような香りです。

メトキシピラジンの含有量は品種により大きく異なり、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、カベルネ・フラン、カルメネールなどの品種で多く見られます。

メトキシピラジンの量は、ブドウの成熟度に反比例することがわかっています。ブドウの成熟度が高いと、メトキシピラジンの含有量は少なくなることが多いため、熟成系の高級ボルドーやカリフォルニアの高級赤ワインの製造元は、この香りを出さないように造る努力をしています。

なぜなら、メトキシピラジンは少量でもワイン中の香りへのインパクトが強く、メトキシピラジンのグリーンノートが強すぎると、他のフローラルな香りなどを隠してしまうからです。これは、もったいないですよね。

トレーニングを繰り返すこと

リースリングのぺトロールやカベルネ・ソーヴィニョンのメトキシピラジンの香りは、何度か経験してみないと、すぐに感じ取ることは難しいです。一度で分かる人はほとんどいません。数日に分けて、トレーニングしてみると今まで感じ取れなかった、この香りが急にわかるようになるのです。

ブショネを判別する方法はこちらを参考にしてください
✔ ワインのブショネとは? – レストラン ワインじまん (kirapremiumtour.com)

ワインは小瓶に移す

テイスティングトレーニングに使用するワインは、その日限りでなくても問題ありません。小瓶に移しておくと2週間ほど、香りや味が変わることは無いです。そのままフルボトルに入れていては変化してしまいますので小瓶に移しましょう。お勧めはこちらです。

数本抜栓するとなると、この瓶に移しておくことをお勧めします。飲み残しのワインも小分けにすると冷蔵庫にも入ります。品質の変化が心配なので、小分け密閉がお勧めです。

テイスティンググラス

テイスティンググラスは、こちらが本格グラスです。小ぶりで使いやすいところも良いです。

品種や産地などが異なる様々なワインを、全て同じ条件でテイスィングするために、INAOによって認定されたワインのプロフェッショナルの為のグラスです。
スワリングしやすく、ワインが十分に空気接触できる形状になっており、ワインのプロフェッショナルの視覚、嗅覚、味覚に効果的に使用できます。箱入りなので持ち運びにも便利です。

あなたも、レストランワインじまんのテイスティング会にお越しくださいませ。

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KIKI

KIKI

飲食店を開業しておよそ20年。有資格はソムリエ・ワインエキスパート・サケディプロマ・唎酒師・酒匠・チーズプロフェッショナル。

経営者として店を盛り上げるために、ワインや日本酒に特化した店に舵をきり大成功。店で人気のコストパフォーマンスが良いワインや、ワインにマッチするチーズなどをご紹介します。お客さんには言えないワインの話もぶっちゃけちゃいます。ワイン大好き!みんなで楽しみましょう。

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