目次
ワインの表現 テイスティングコメント
今日もちょっと、深く掘り下げてワインのテイスティングについて学んでいきましょう!
ワインから香りを見つけるには先ず、その香りを知っていなければなりません。
表現の上手いソムリエが、どのような時に使い、どんなワインから感じ取っているのかについて解説していきます。第一回目はフルーツ、第二回目は花・植物を学んでいただきました。
今回は、土・木・スパイスです。数回に分けてテイスティングコメントを作成していますので、ぜひ参考にしてみてください。
第一回目フルーツ編、第二回目花・植物をご覧になっていない方は、先ずはこちらからご覧ください。
ワインのテイスティングコメント 表現 ①フルーツ編
ワインのテイスティングコメント 表現 ②花・植物編
ワインの表現 テイスティングコメント 土
土はワインの熟成感を表すことが多いコメントです。
土の香りには乾いた土や、湿った土、腐葉土などは赤ワインの熟成を表現する言葉であり、土の状態はワインの様々な熟成が現れています。
熟成の段階で変化する香りという事を覚えておきましょう。
土 | ブドウ品種 | 表現 |
土、湿った土 | ボルドー系全般 | 赤ワインに使う表現。 湿った土は熟成の兆しを示すコメントになる |
腐葉土 | ボルドー系、ピノノワール | 黒く湿った重い土の事。湿った土より、さらに熟成したワインに使うコメント |
ワインの表現 テイスティングコメント キノコ
キノコも、土と同じく熟成を表現する言葉です。
ワインにキノコの香りを感じたら熟成している証拠です。
キノコ | ブドウ品種 | 表現 |
トリュフ | メルロなどのボルドー系 | 黒トリュフは、腐葉土などの赤ワインの熟成の延長線上にある香り。もっとも複雑な香りとして表現される。深みのある赤ワインがさらに熟成した時に感じられる。 白トリュフは、白ワインや、スパークリングワインが熟成した時にわずかに感じる香り |
マッシュルーム | 白ワイン、スパークリング | 熟成し始めた、白ワインやスパークリングに感じられる。自然酵母で発酵された白ワインで感じられることもある。 |
松茸 | ピノノワール | 軽いタイプの赤ワインがきれいに熟成した時にみられる。全房発酵で亜硫酸が少ないタイプのワインから感じられる。 |
椎茸 | 赤ワイン全般 | 松茸よりも土っぽいニュアンスがあるときに使われる。赤ワインがきれいに熟成した時に現れる |
ワインの表現 テイスティングコメント 木
木の香りは主に樽に関する香りです。
ワイン造りに使用される、主にオークの木樽由来の香りや、樹脂のような香りがします。
木の香りは赤ワインにも、白ワインにも感じられる香りです。
木のコメントも大切なテイスティングコメントです。しっかりと覚えましょう。
木 | ブドウ品種 | 表現 |
杉、ヒノキ | ボルドーのカベルネソーヴィニヨン | 樽の影響が多く、樹脂の香りに似ている |
白檀 | ボルドー(赤、白)、ゲヴュルツトラミネール | 甘くスパイシーな香り。ボルドーの白や赤ワインに新樽で熟成した時に現れる。 |
オーク | 赤、白、ロゼのすべてのワイン | 樽由来の香りで、赤、白、ロゼ問わず、すべてのワインに感じられる。バニラの香りと一緒に感じることが多い。 |
樹脂 | 主にピノノワール | 樽を使用したワインで、特に余韻に感じることが多い。熟成に新樽を使用しているワインに強く感じられる |
ワインの表現 テイスティングコメント スパイス
スパイスの香りは、熟成に使用する樽由来の香りか、ブドウ本来から感じる香りがあります。
そして、醸造方法や気候や天候によっても生まれる香りです。スパイスは、ワインを口に含んだ時のアタックや余韻に複雑みを与える香りです。
スパイスは「スパイシーな」などと表現されます。
スパイス | ブドウ品種 | 表現 |
コショウ | 黒コショウ:シラー白コショウ:リースリング | 黒コショウは、シラーの代表的な品種特徴香。スパイスのニュアンスは控えめでオールスパイスのような風味。 白コショウは、オーストリアのリースリングに感じられる。鉱物的な味わいや風味を全体に持つワインから感じられる。 |
アニス | 南仏の白ワイン | 甘いスパイスの香り。南仏の白ワイン、赤ワインともに感じられる。 |
バニラ | 木樽貯蔵のワイン全般 | 特に新樽で樽熟成をしたワインから感じられる。におい物質は「バニリン」が主な原因で感じる香り。泡盛が熟成した時にも「バニリン」の香りがする。 |
シナモン | ゲヴェルツトラミネール、シラー、ピノノワール | ゲヴェルツトラミネールに感じられる。オーストラリアのシラーにも感じやすい。また樽熟成をしたワインに粉っぽいシナモンを感じることもある |
クローブ | ボルドー系、樽熟成のワイン | 樽由来の香りとして、多くの樽熟成したワインから感じられる。和名は「丁子」で、特徴的で強いスパイシーな香り。ヘビートーストした木樽で熟成したワインから強く感じる。下記で詳しく解説していますので、参考にしてください。 |
甘草(かんぞう) | ボルドー系 | 木の根の甘さを思わせる香り。樽熟成をしているワインに感じられる。下記で詳しく解説していますので、参考にしてください。 |
山椒 | 白ワイン | スッとした時折刺すようなスパイス香り。 |
ナツメグ | 赤ワイン | 樽熟成したワインに使用されるコメント。ナツメグ&シナモンをセットで使用すると「樽貯蔵」を連想させる。多用するコメント用語 |
クミンシード | 白ワイン | 酸化熟成した白ワインに感じられる。主に産膜酵母のヴァンジョーヌにある香り。複雑な熟成を経た時に現れやすい。 |
甘草(かんぞう)とは
クローブ 和名「丁子」とは
ワインの醸造技術による香り
ワインを造るときには様々な醸造技術を用いります。その際に出る代表的な香りをご紹介します。
・マセラシオンカルボニック・・・・バナナ(※) キャンディ
・低温発酵・・・・キャンディ、吟醸香
・マロラクティック発酵・・・・杏仁豆腐、カスタードクリーム、バターなどの乳製品
まとめ
ワインに代表される香りのコメントの使い方、いかがでしたでしょうか。何となく聞いたことがある香りですが、実際に嗅いだことがないと、なかなか腑に落ちません。一流のソムリエは、色々な香りを実際に嗅いだことがあるので、香りを知ることができ、コメントを求められたときに、スッと表現できます。
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