カヌレとは ・美味しいカヌレ・買ってはいけないカヌレ - レストラン ワインじまん

カヌレとは ・美味しいカヌレ・買ってはいけないカヌレ


カヌレっていったいどんな味?

KIKI

KIKI

カヌレは食べたことありますか。

どんなお菓子か想像がつかないので教えてください

OK!

カヌレ


カヌレは見た目は地味なんだけど、美味しいカヌレは本当に感激する美味しさです。

ちょっといい方は悪いけど、カヌレは店によって味が違うし、
風味が品蘇なカヌレや、贅沢な風味のカヌレがあります。


だから当たりハズレがあるお菓子で、見た目ではあまり判断できないのも事実。
KIKI(私)のレストランでは毎日のように焼いていて、味や風味、食感にも心底こだわっています。

カヌレは賞味期限、一日だと思ってください。

じゃあ、説明していきますね。

カヌレとは


カヌレとは、フランスの伝統的な洋菓子で、カヌレ型と呼ばれる小さな型に入れて焼くのが特徴です。

正式名称を「カヌレ・ド・ボルドー(cannele de bordeaux)」といいます。カヌレ(cannele)とは、「溝の付いた」という意味で、見た目そのままのネーミングになっています。

もともとフランスのボルドー女子修道院で古くから作られていたため、正式名称には「ボルドー(bordeaux)」の名前もついています。

主な材料は、牛乳、ラム酒、バター、砂糖、薄力粉、全卵、卵黄、バニラ。これらを混ぜ合わせた生地を寝かせ、蜜蝋(またはバター)を塗ったカヌレ型に生地を流し込んで、オープンで焼き上げます。
焼く前の生地は24時間も冷蔵庫の中で寝かします。そうしないとカリッとしたカヌレが焼けないのです。

表面はカリッと焼き上げて、中はしっとりと優しい甘さが特徴です。



ワイン造りとカヌレ


カヌレでメインに使用するのは 卵の黄身 です。

ワイン造りが盛んなボルドーでは、ワインの澱を取り除くために卵白を使用しており、大量の卵黄が余ってしまったことから、その利用法としてカヌレが考え出されたと言われています。

卵白には蛋白質が含まれていて、これは渋味の成分であるタンニンと結びつきやすい性質を持っています。この蛋白質が少しずつタンニンと結合して、だんだんと重くなり、樽で熟成中のワインの中でゆっくりとタンニンと一緒に沈んでいくことで、最後には樽の底に沈んでしまいます。添加した卵の蛋白質がすべて底に沈むので、2カ月ほど経ってからオリ引きという作業によって、上澄みのワインだけを取り出し移し替えることで卵白は全て取り除かれ、澄んだ赤ワインを得ることができるのです。

これをワインの醸造用語で
清澄とよびます。フランス語ではコラージュ(collage)です。

この作業によって、ボルドー地方では大量の卵の白身だけが使用されるため、余った卵の黄身を使ってできるお菓子が開発されました。それがカヌレです。

カヌレの歴史もワイン同様、古い伝統的なお菓子です。




カヌレはパティスリーやパン屋さんでも販売しています。一個の単価が250円から400円程度で価格にも少々幅があります。マカロンのように少し高いですよね。

それは、確実に原材料に高価な素材が使用されているからです。


カヌレに使用される高価な素材


それは、大量のラム酒と、ふんだんに使用するヴァニラビーンズです。
世界的にヴァニラビーンズは手に入りにくくなっています。
1キロのバニラは、1キロの銀よりも高価になります。ラン科ヴァニラという植物を何年もかけて丁寧に栽培して収穫されるヴァニラは、サフランに次ぐ世界で2番目に高価なスパイスです。

この5年で、ヴァニラビーンズの卸売価格は500%近く上昇しています。
「グリーン・ゴールド(緑の金)」と呼ばれることもあるヴァニラビーンズの需要は極めて高く、盗難や殺人事件も起きているそうです。

日本の今、北海道でも「ナマコ」がそれにあたりますよね。

そして、ラム酒も他の焼菓子ではあり得ないほど大量に使用されます。

こんなに贅沢に使用するお菓子ですから、材料を少なくすれば原価が下がりますが、もちろん風味が落ちます。だから、店によって当たりハズレの多いお菓子になってしまうわけです。

カヌレに合うワイン


赤ワインは渋みがあり、ケーキのような生菓子には少し合わせずらいです。
ケーキならシャンパーニュや樽を使用していないシャルドネなどキレのあるワインの方が合わせやすいです。

でもカヌレなら同郷のボルドーワインに合わせてみてください。
手土産に、ボルドーワインとカヌレなんて、凄くおしゃれです。
その際には、この記事の内容を話してみてください。かなり尊敬されます。


著者のレストランで合わせたボルドー。贅沢ワインです。

シャトー・ランシュ・バージュ ポーイヤック 2014年
これは、贅沢な時間を過ごすときの飲んでいただきたいワインです。

ポイヤックの第5級格付けシャトーで、1937年以降、名醸造家一族カーズ家が所有し、現在産出されるワインは、「これぞポイヤック」といえるようにそのよさを全て兼ね備えている見本ともいえるワインです。

黒系ベリーの、ブラックチェリーやカシス、樽の香りもバランスが良い。
杉の香りが果実の香りと調和します。

いきいきとした果実感と豊かな渋み。このワインも飲み頃ですね。
まだこの価格で飲めるのも嬉しいかもしれません。

ポイヤックは5大シャトーのみならず格付けシャトーの水準が軒並み高く、豪華絢爛なシャトーがひしめく、メドック地区の中心的存在です。


2018年 シャトー・ランシュ・バージュ ポーイヤック 


カヌレに合う上質なお買い得ワイン

これとてもお買い得で、嬉しいセットです。
サンテステフというボルドー地区のワインセットなのですが、エレガントな赤ワインの銘醸地になっています。4本のセットですが、とてもいいワインがセレクトされています。
売り切れる前に是非どうぞ。

サンテステフ上質4本セット 12650円 1本あたり2875円(価格破壊並み)

① サンテステフ・ド・モンローズ 2014
あの格付け2級のサードラベルです。もう、これが一番うれしい!シャートーの従業員用のワインだったとか。サードでも素晴らしい余韻と、緻密な酸味と成熟したブドウのポテンシャルが感じられます。2014年、まさしく飲みごろを迎えています。
② サンテステフ・ド・カロン・セギュール 2017
格付け3級で、ハート形ラベルで有名なカロン・セギュールのサードワインです。これだけでも5千円近くするのでもう、お買い得すぎます。エレガントな酸味と程よい渋み。余韻も長く果実味が豊かです。温度が変わると、徐々に味わいが変化します。
③ シャトー・カプベルン・ガスクトン2011
カロン・セギュールと同じオーナが造る、知る人ぞ知るワインです。シャトーもカロン・セギュールのすぐ近く。味わいも少し似ています。エレガントで伝統的な作り方でクラシックなボルドーを楽しめます。
④ シャトー・ラヴィヨット 2002
18年熟成のバックヴィンテージです!こんな上質なワインはなかなか手に入りません。

香ばしいトーストのような樽の香りがあり、酸味もエレガント。
ブルゴーニュと間違ってしまうかもしれないです。


最後におまけ

買うべきではない本当は失敗、不完全なカヌレ


著者はレストランオーナーでケーキや焼菓子にも精通しています。

だから、街で見かけるカヌレについて「これ本当に販売していいの?」「プライドは無いの?」というカヌレを多く見かけます。



フリー画像サイトから引用

失敗カヌレのリスト

  • 上部が焼けていない(上部だけ白い)
  • 全体的に濃い茶色ではなく白っぽい
  • 外部が触ると柔らかい

失敗の理由
① 上部が焼けていないのは、自分のオーブンをカヌレを焼くために熟知していないから。白っぽいのはカヌレ型に入れて焼いているときに、噴射と呼ばれる失敗があり生地を焼いているときに型から生地が浮かび上がってしまうから。これは仕方ないのではなく、上部が白くならないように自分のオーブンを研究しなければならないと思います。街でよく見かけます。
カヌレは失敗率が高いから、白くなった上部にチョコレートをかけて販売すると、失敗がバレません。
② カヌレ型がシリコン製や安価なステンレス型を使用しているからです。伝統的なカヌレ型は、銅製で高価なものです。1個5千円はします。銅製は熱伝導が良く、茶色くカリッと焼きあがります。
③ カヌレの賞味期限は1日だと断言します。衛生上なら3日程度冷蔵庫で大丈夫ですが、カヌレは食感が命です。そのため、翌日には柔らかくなってふにゃふにゃに、なってしまいます。

まとめ

カヌレは原材料が高い贅沢なお菓子。見た目は地味ですが、原価と技術が大きく左右します。カヌレは、マカロンと同じくシンプルに見えますが、作り手の技術が必要です。

そして、フランスボルドー地方の伝統菓子カヌレは、同じ土地のボルドーワインに合うように開発されました。ペアリングはこの時代からありました。


是非、カヌレとボルドーワインを楽しんでくださいね!読んでいただきありがとうございました。

KIKI

KIKI

飲食店を開業しておよそ20年。有資格はソムリエ・ワインエキスパート・サケディプロマ・唎酒師・酒匠・チーズプロフェッショナル。

経営者として店を盛り上げるために、ワインや日本酒に特化した店に舵をきり大成功。店で人気のコストパフォーマンスが良いワインや、ワインにマッチするチーズなどをご紹介します。お客さんには言えないワインの話もぶっちゃけちゃいます。ワイン大好き!みんなで楽しみましょう。

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